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#P4A RankMAX #25

アニメ設定の鳴上くんと花村さんで花主が成立するまでを、アニメの流れに沿って書こうとしている話の25話目です。アニメの25話時点に相当します。

まだ花→鳴。花鳴と言い張れば言い張れる気もしなくはありません。




「つ……っ」

アメノサギリの攻撃で吹き飛ばされた後、俺はしばらく意識を吹っ飛ばしていたらしい。なにかに呼ばれたような気がして、俺はやっと自分が気を失っていたことに気づいた。

人は真実なんて望んでない、見たいものを見たいようにしか見ない。アメノサギリのその言葉はたしかに俺の心を抉りはしたけど、それでも言い返すことはできた。深い霧の中、見えなくても目をふさがれても必死にあがいてようやくこの真実にたどり着いた、その自負はあったからだ。
そんな俺たちをここまで引っ張ってきたのは、他の誰でもない。
最初からテレビに入る力もペルソナ能力も持っていた、悠だ。

「……悠?」

なぜか、その悠に呼ばれたような気がした。しかも、ものすごく遠くから。
本来だったら聞こえるはずのない、遠くから。耳で聞いたわけではなく、その声は脳裏に直接響いた。

「え……?」

瓦礫の山に叩きつけられたせいで痛む身体を、なんとかなだめて立ち上がる。俺が倒れていたすぐ近くに、ジライヤも倒れていた。身体の表面に走るノイズが大きくなっているということは、かなりのダメージを受けているということだ。
だけど、今はそれに構っている場合ではなかった。

「悠、どこに……」

聞こえてきた声の主を、必死に探す。さっきの爆発はかなり大きかったから、全員ばらばらに吹っ飛ばされた可能性が高そうだった。

「くそ……」

どうしてか、やけに気が急いた。こういうとき、ヒミコの能力がうらやましくなる。
そして──見つけた。

「え……」

地面近くにまで降りてきている、アメノサギリ。どこか機械的なのに禍々しい、大きな黒い目玉みたいな姿を持つ、霧を作り出した存在。
そのアメノサギリに飲み込まれそうになっている、悠を。

「な……っ!?」

一瞬、なにが起こってるのか理解できなかった。否、正確には頭では理解できなかった。
頭より先に、本能が理解した。このままで、悠が永遠に失われてしまうこと。霧の元締めに飲み込まれてしまうこと。

そんなこと、許せるはずがない。
俺たちから──俺から悠を奪うなんて、そんなこと誰が許すものか。

「悠──────!!」

自分でも、わかった。それは、魂からの叫びだったと思う。
だからこそ、それは起こったのだろう。悠を、世界を、現実を取り戻すために。

俺たちのペルソナが生まれ変わるという、奇跡が。



「なにが悲しくて、野郎ばっかのクリスマスイブ……」

完全に撃沈している完二とクマを足先で蹴ってなんとかスペースを確保しながら、俺は深いため息をついた。
未だ保護者の帰ってこない堂島家、しかもクリスマスイブなんておあつらえ向きの日に男ばっかり集まったら、まあこうなるのは必然だろうとは思った。酒癖悪いのがいるからできれば遠慮したかったんだけど、俺のそんなささいな願いはあっさりと却下されたわけだ。

「ぐがー、ぐごー」
「うるせえよ完二」
「ぐがー」

いびきで返事されても、意味がさっぱりわからない。
修学旅行のときの完二は酔っ払った様子を見せなかったから酒に強いのかと思ったら、決してそんなことはなかった。いや、べつに弱くはないのかもしれないが、ほぼひとりで一本空けていたから妥当な結果なのかもしれない。いわゆる、飲みすぎというやつだ。

クマはなにしろお子さまなわけで、ノンアルコールドリンクで見事な場酔いを披露していたくらいだから、本物のアルコールを口に含むとほぼ同時に眠りの世界に旅立った。ある意味これも見事だと思う。
そして、前はこれまたとんでもない場酔いをさらしていた某キングだが。

「ようすけ、おかわり」
「まだ飲むのかよ!?」
「おちゃがいい」
「ああ、うん、そっちにしといて……」

やっぱり、本物の酒でも酔っていた。ただ気のせいか、前の場酔いよりは若干マシな気もする。少なくとも、自分から酒以外のものを欲しがる程度には。
ちなみに、俺は一滴も飲んでない。ここで俺まで酔いつぶれたら大惨事になることが目に見えているからだ。

明日は、菜々子ちゃんと堂島さんがこの家に帰ってくる。菜々子ちゃんを出迎えて、みんなでクリスマスパーティーをする予定だった。
今日はそれの前夜祭で、本当だったら悠とふたりでしんみり祝いたいとか思っていなくもなかったけど、それはまあ叶わなかった。というか、クマがいる時点でまず無理だろうって思っていたから、特に惜しくもない。
それに完二とクマが潰れた今、ちゃんと意識を保ってるのは俺と悠だけなわけで、ある意味幸せな空間なのかもしれなかった。

「ようすけ」
「おう、どしたよ」

ただ、悠が完全に酔っ払いキングモードなので、まともに会話が成立しないが。

「ねむい」
「ですよねー」

とりあえず、王様ゲームをやりださないだけマシな気もしている。
ウーロン茶のグラスを手にしたまま、悠は頭をゆらゆらとさせていた。目は酔っているせいで完全に据わっていて、どこを見ているのかよくわからない。

「眠いなら、テーブルにグラス置いとけ。ひっくり返すぞ」
「やだ」

一応進言してみたら、あっさりと却下された。つまり、眠いけどまだ寝る気はないと、そういうことなんだろうか。
かと思えば、そのグラスを目の前に突き出される。

「え、なに? まだ中入ってるよな、それ」
「ようすけ、ひざ」
「え? ひざ?」
「ひざ。あしの、ひざ」
「……もしかして、膝?」
「そう。かせ」
「え」
「あ、グラスもってて」
「…………」

つまり、今俺の目の前に突き出しているグラスを受け取った上で、眠いらしい悠に膝を貸せということだろう。
そういえば、前もそうだった。酔っ払うと、悠は脱ぎ癖とくっつき癖が出てくる。
……これ、他のヤツの前でやられたら、どうしよう。ちょっと頭が痛い。
というか女子にやったら、確実にヤバイんじゃないだろうか。

「へいへい」

とはいえ、現在進行形の酔っ払いにその手のことを説教したところでおそらくまったく意味がないので、とりあえずは棚に上げておくことにした。ご要望通りウーロン茶のグラスを受け取って、立て膝になっていた足をあぐらに戻す。

「ん」

要求が通ったのがわかったのか、悠が満足げにうなずいた。そのまま、俺の足を枕にしてごろりと横になる。
男の足なんて、枕にするには固すぎて快適からはほど遠い気がするんだが、それでもいいんだろうか。いや、だからって女子相手に要求されてもいろいろと困るわけだが。

……まあ、悠なら平気な気もしなくはない。なんせ、天然ジゴロだ。
ただ、翌日記憶がないのはどうかと思う。

「……なあ、ようすけ」
「ん?」

そんなことを考えていたら、足の上から声がした。仰向きで寝っ転がっている、悠だ。
目は、閉じられていた。寝言だろうか。

「どしたよ?」
「おれたち、がんばったよな」
「……え?」

──寝言というわけでも、ないらしい。

「ちゃんと、きりをはらせた、よな」
「……ああ。俺たちは、勝ったんだ」

持っていたグラスをテーブルの上に置いてから、空いた手を悠の頭の上に乗せた。優しく撫でてやると、悠が小さく身じろぎする。

あの日、悠の作り出した新しいペルソナが、アメノサギリを倒した。アメノサギリが消え去ることで、稲羽を覆っていた霧は晴れたのだ。
あれ以来、この街ではなにも起こっていない。菜々子ちゃんの容態が加速度的によくなったのも、霧が晴れた後からだって聞いた。

アメノサギリは、倒した。真犯人の足立さんは、警察に捕まった。
ようやく、稲羽に平和が訪れたのだ。

「……あのとき、すごくあんしんしてたんだ」
「悠?」

また、悠の口からぽつりと言葉がこぼれる。半分寝ているのかふわふわしていて、なんのことかよくわからない。
名前を呼んでみたら、床に投げ出されていた悠の手が、なぜかぴくりと動いた。

「アメノサギリにのみこまれかけて……でも、あきらめなかった。みんながいるから、絶対にだいじょうぶだって……そう、わかってた」

ゆっくりと、悠の手が持ち上がる。それはなにかを探すように空をさまよって、そしてどうしてか行き着いた。
悠の頭を撫でているのとは逆側の、俺の手に。指と指を絡めるように握られて、一瞬どうしていいかわからなくなる。

酔っている悠の手は、いつもより温かかった。
──火傷のせいで熱を持っていたときとは、また違うぬくもりだ。

「アメノサギリの中は、暗くて冷たかった。でも、すぐに風が吹いて、そうしたらあたたかくなったんだ。なにも見えてないのに、もう大丈夫だってわかってた」

閉じられていた悠の目が、開く。もうそこに、酔いの名残は見られない。いつもどおりの強い視線が、まっすぐに俺を見上げている。
いつの間にか、口調もはっきりしていた。

「意識を取り戻してすぐ、納得した。あれは、陽介だったからなんだな」
「……かも、な」

呟くと同時にそっと髪を撫でると、悠が目を細めて笑う。
たしかに、アメノサギリに飲み込まれかけていた悠を助け出したのは、転生したばかりの俺のペルソナ・スサノオだ。

スサノオが助け出した悠を絶対に離すまいとしていたのが、俺にはよくわかった。なんといっても、ペルソナは困難に立ち向かうための人格の鎧。まぎれもなく、俺の一部だ。
スサノオの気配から俺を連想して悠が安心してくれたというなら、それはとても嬉しいことだ。悠がいつだって俺を助けてくれるように、俺も悠を助けることができる。俺が悠といて安心できるように、悠も俺といることで安心してくれる。
求めたものが与えられる。それがこんなにも幸せをくれるなんて、思わなかった。

──だからこそ、これ以上を求めてはいけない。強く、そう思う。

「やっぱり、陽介は俺のヒーローだ」

満たされたような笑みを浮かべる悠に、悲しい顔はさせたくなかったから。

「なに言ってんだっつの。お前なんて世界のヒーローだろ、悠」
「世界のヒーローより、陽介のヒーローになりたい」
「ぶふっ……お前、はっずかしいヤツだな!」
「陽介ほどじゃない」
「あ、それ言っちゃう!?」

クリスマスイブの夜は、更けていく。俺の膝に、悠の頭を乗せたまま。
その体勢のまま俺も悠も寝入ってしまったようで、朝になったら完全に足がしびれていたのはまあ、お約束というものだろう。

俺の足をつつこうとしたクマには、とりあえず制裁を加えておいた。

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