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#放課後ミニッツ

お互いに友情だって信じて疑ってないけどたまに「ん?」って首を傾げる感じの高2な花&主。
八十稲羽祭6で配布していたペーパーの中身でした。ありがとうございました。

縦書きのほうがいい、紙で読みたい、な方はboothに配布時のPDFが置いてありますので、そちらもどうぞ。


 海に行きたいって言い出したのは、相棒だった。
 ものすごく唐突だったけど、こいつが唐突なのはそれこそいつものことだ。とはいっても本気でたった今電波受信しました、ひらめきましたってんじゃなくて、一応本人なりに起点と経緯と終点があるらしいのが常だった。その過程が説明されることはほとんどないし、説明してくれたところで内容を理解できるかどうかはまた別問題なのは、おいておく。
「海行くのはいーけどさ、泳ぐにはちょっと涼しくね?」
 とりあえず、そんな相棒の言い分にどう反応するか一瞬考え込んで、俺が導き出した結論はそれだ。
 季節的にはまだかろうじて夏にひっかかってるかもしれないけど、最近はけっこう涼しい日も多い。大体、とっくの昔にお盆も過ぎてるわけで、今海に入ったらたぶんあちこちクラゲだらけなんじゃないだろうか。
 さすがに、クラゲにまみれて泳ぐのはちょっといろいろハードすぎる。
「え? 陽介、泳ぎたい?」
 そんなこと考えてひとりでぶるぶる震えてたら、相棒は「その発想はなかった」とでも言いたげに首を傾げた。いつもは目つきが悪いことになってる砂色の目が、丸いアーモンド型になっている。ちなみに、いつも三白眼もどきなのは、単に目をぱっちり開けておくのがめんどくさいから、らしい。この知識、正直なところ知りたくなかった。
 や、でもそんなこいつのネタバレ知ってるのは俺だけみたいで、それはそれでちょっと嬉しいから困る。なにがって、主に俺自身にどん引きたくなることだ。
「え、泳がないならなにしに行くんだよ? まさか砂遊び?あ、ナンパ?」
「いや、陽介じゃないからナンパはしないけど」
「俺もしねーよ!?」
 なんだ、その反応。ものすごく心外だ。
 いや、たぶんというか確実にバイクで以下略のときの弊害なんだろうけど、あれ以来一度もナンパなんてやろうとしてないってこともちゃんと思い出して欲しい。
 それに、べつにあのときだって本気で彼女を作ろうとしたわけじゃ……まあ、そんなのどうでもいい。今、わざわざ蒸し返して主張するようなもんでもなかった。
 むしろ、あの悪夢に関しては忘れたい。忘却の彼方に葬り去りたい。早急に、すみやかに。
「で、結局なにしに行くんだよ?」
 というわけで、強引に話を元に戻した。なにをしに海へ行くのか、じつはそれ自体はどうでもよかったりするんだけど、なんとなくそっちに話題を持って行くのが妥当な気がしたからだ。
 相棒と一緒にいるのはそれだけで楽しいから、それこそどこ行くんでもなにやるんでも構わない。いつからそんな風に思うようになったのか覚えてないけど、気づいたときにはもうそれが少しも揺るがなくなっていた。
 まあ、それでまったく困ってないどころか毎日がすごく充実してるので、問題ないと思う。
「もちろん、釣りだ」
 ──なので、相棒がドヤ顔でこんなこと言い出しても、今さらその突拍子のなさに驚いたりはしない。
「お前、夜に川で釣りしてるだけじゃなくて、海でもやってたの?」
 もちろん、呆れはするし、ツッコミも入れるけど。


 六月に原付の免許を取ってから、俺たちの行動範囲はずいぶんと広がった。
 沖奈にも行きやすくなったし、温泉にだって入りに行ける。相棒ご希望の海にも、もちろん行けるようになった。夏休みには、仲間たちみんなで遊びに行ったりもしたし。
 ただよく考えたら、こいつと二人で来るのは初めてだ。まあ、それもそうか。みんなで海に行ってから、よく考えたらまだそんなに経ってない。せいぜい、一ヶ月ちょいくらいだった。
 あれから予想以上にいろいろあったからか、経験が濃密すぎて時間経過の感覚が麻痺しているのかもしれない。夏祭り堪能したり花火見たり、修学旅行もあったし(ある意味とんでもねえ経験をした)、かと思えば解決したと思ってた事件がじつは解決してなかったことが判明したり、そりゃもうただ楽しかったことから深刻かつびっくり仰天なことまで波乱万丈なことこの上なかった。それでもテレビの中に落とされた直斗は無事に助け出したし、あとは復帰待つだけの、今は比較的のんびりしてるときだと思う。
 相棒が海に釣りに行きたいとか言い出したのも、だからなのかとか思ってはいた。まあ、こいつは暇さえあればわざわざ夜になってから鮫川に釣り竿持って繰り出すようなヤツなので、もしかしたらいろんなこと関係なく思いついたってだけなのかもしれないけど。
 ひとまず、誰もいない夜の川で釣りに熱中するよりは、昼の海で俺の監視の元釣りをするほうが、危なくない。これは、間違いないんじゃないだろうか。
 それに、こいつが真顔で釣りしてるのを横からいろいろ茶々入れながら眺めてるのは、けっこう面白い。えーと、なんていうんだろう。こう、あいつだけの時間に入れてもらえたみたいな、不思議な満足感がある。
「まあ、だからさ。釣りはいいんだよ、釣りは」
「うん?」
 ただ、それとこれとは別なわけで。
 こいつのことだからどうせ天然で、まさかツッコミ待ちだとは思っていないけど、でもやっぱり心の中に秘めておくとかそんな芸当はどうしたってできないわけで。
「フツー、釣りっていやあ魚だろ? や、ここ海だし、川じゃ釣れないタコとかイカとか釣れたりするかもしんないけどさ」
「残念、イカは釣れない。タコなら釣れるぞ」
「いやいや、そこはぶっちゃけどうでもいいんだよ。俺が聞きたいのは、今そこにぶらさがってるソレだよ」
「ソレ? あ、これ?」
「そう、それ。なんだよそれ……?」
「かざぐるま」
「あのさ、なんでゴミ……じゃなくてかざぐるま釣って、そんなやり遂げたって顔してんの?」
「今日はこれを釣りに来たからだ!」
「なんでだよ!?」
 ただ、ツッコミ入れてみてもやっぱり意味は少しもわからなかった。
 なんでかざぐるま。つーか、そもそもこれって海で釣るものなのか? たしかに、ゴミにしてはなんかきれいな気もするけど、きっとそういう問題じゃない。
「ほら、この間秘密基地でバス停使ってだろ。思いっきり陽介にツッコミ入れられたやつ」
「あー……アレか」
「あのバス停、ここで釣ったんだ」
「マジかよ」
 言われて、思い出した。直斗を助けに行くとき、そういやこいつは武器としてバス停をぶん回していたんだった。
 バス停はすでに両手剣っていうくくりじゃなくて、どう見ても鈍器だよなって感じだったけど、まあ武器としての威力はなかなかあったみたいだ。それじゃなくてもこいつはやや変わってる武器が好きで、チタンクラブ応援団旗だの竹ぼうきだのを満足そうに振り回してたし、俺にもなぜか稲羽マスみたいな形した武器だの(なんとも言い難い音が特にすごかった。なのに、威力も命中もかなり上等だったのがなんとも言い難かった)、どう見ても焼きトウモロコシな武器だの(これまた強かった。意味がわからない)を調達してくる。だいだら.の親父の発想が独特なだけかと思っていたけど、そういうわけでもないようだ。
「で、もしかしたら他にもおもしろ……じゃなくて、武器になるかもしれないものが釣れるかなって」
「おい、今、さらっと本音漏れただろ」
「気にするな」
「気になるわ! 慣れたけど!」
「さすが陽介」
「…………」
 そこで嬉しそうな顔をされると、なんというかそれ以上ツッコミ入れる気力も消えていく。たぶん他人が見たって気づかないくらいの変化なんだけど、俺にはわかっちまうんだからしょうがない。
 まあ、いいかってため息をつきかけて──そこで、ふと気づいた。
 バス停の出所がここだったのは、いいとして。話題の発端は、それじゃなかったよな? つまり、だ。
「……って、まさか」
「たぶん、そのまさか? ほら、これなら陽介の武器になるだろ」
「やっぱりそーなんの!?」
 ドヤ顔で相棒から手渡されたかざぐるまを、まじまじと眺める。いやまあ、たしかに武器として十分使えそうだし、しかもかなり強そうな予感はするけど、でもなんていうか。
「……稲羽マスと焼きトウモロコシとかざぐるま?」
「今度、甚平着てテレビの中行こう!」
「言うと思ったけどな!?」
「え、ダメか?」
 そんなこと言いながらも、こいつがそれで喜ぶならまあいいか、なんてことを頭の片隅で考えている自分がいる。
 んでもって、そんなこと考えてる俺をしゃーねーなって眺めながら、でもちょっと満足げな自分もいる。
「ったく、しょーがねえなあ……」
 じつはけっこう乗り気なのをごまかすように、頭をかきながらそうぼやいてみせたら。
「楽しみだ」
 相棒がびっくりするほど楽しそうに笑ったから、なんかもう細かいことはどうでもよくなった。
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