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#以心伝心

花村陽介が相棒自慢するだけの話。
花主プチのペーパーラリー用小話。新刊ないのにスペースに遊びにきてくださった方、ありがとうございました。




 半分くらい寝ていた授業が終わって先生が教室を出て行った直後、それまで俺の前の席でおとなしく授業に集中していた相棒がくるりと振り向いた。
「お?」
 相棒は、基本的に真面目だ。授業に出てればちゃんと先生の話を聞いてるし、しっかりとノートも取っている。テスト前には高確率でそのノートの世話になるので、俺もそれの邪魔をすることはない。
 一応、俺だって授業を聞く気はあるのだ。勉強なんて好きじゃないし、なんといっても興味がないし、できればやりたくないけど、テストはそこそこの成績を取っておかないと進級すら危うくなる。
 留学とか病欠とかの堂々とした理由があるならともかく、さすがにテストで赤点取って高校留年っていうオチだけは勘弁だ。
 ただ、聞く気があるからと言ってちゃんと毎回授業を受けられるかといえばそういうわけでもなく、けっこうな勢いで寝落ちている。特に一時間目と、昼休み直後の五時間目とか起きてられるほうがめずらしい。
 これでも一応、ノートを取る努力とかもしている。その努力が実ることはあんまりないし、いつの間にか寝落ちてるところを先生に指名されて飛び起きるとかもしょっちゅうやってるから信用はなさそうだけど、そのたびに質問の内容や答えを教えてくれる相棒はたぶん、俺の努力っていうかあがきだけは認めてくれてるんじゃないだろうか。
 そうじゃなかったら、あまりに頻度の多い俺のヘルプ要請はとっくの昔に一度や二度なんて数じゃ収まらないくらい蹴られているはずだ。なのに、今のところ一度も断られていない。
 相棒は真面目だし優しいし頼りがいがあるし、そもそも俺には(っていうかおそらくこいつが身内と定めた相手には)けっこう甘いけど、都合よく使われるようなタイプではない。努力の結果ダメでもなにも言わないけど、努力もなにもしないような相手は地味にスルーするし、そういうときの対応は見てるこっちがハラハラすることもあるほど冷淡だ。
 なにしろ、黙ってれば恐ろしく迫力のある美形である。とんでもないイケメンである。
 口を開けば愉快な兄ちゃんっていうか自由な高校生男子以外の何者でもないが、あの眼力をもってじっとガン見されたら普通、なにもしてなくたってビビると思う。心にやましいものがあったら、なおさらだ。
 そんな顔に、サクッと心に突き刺さる冷たい──わけじゃないけど言い逃れのしようもないストレートな事実を突きつけられたらどうなるか。ほとんどのヤツは自滅する。
 それを何度か目の当たりにしてきた身としては、自分がどうしようもないヤツであることは重々承知した上で、せめてマシになるための努力だけは怠るまいと思うわけだ。何度も言うけど、その努力が実っているとはあんまり思ってない。
 そのうち、少しでも実ればいいとは思ってる。うん。
 ──まあ、それは置いておくとして。
 唐突に振り返った相棒は、そのとんでもない強さを誇る視線をじっと俺の顔に向けると、おもむろに右手を差し出した。手のひらを上にして、堂々と。
「ん」
 そして、ひと言。
 ぶっちゃけると、それは言葉にすらなってなかったような気がする。でも、なにが言いたいかはわかった。すでにいつものことだけど、どういうわけかこいつの言いたいことは、すとんと心の中に落ちてくる。
「ほら」
 だから、ぽんと手のひらの上に乗せてやった。
「サンキュ」
 ふわり、と目の前の表情がゆるむ。
 なんで消しゴムが必要なのかはよくわからないけど、うっかりなくしたかなんかしたんだろうか。こいつは真面目なのと同じくらい、大ざっぱだ。アバウトだ。好奇心旺盛すぎて、たまに想像もつかないことをやらかしたりもする。
 授業中になんか唐突に思いついて、自分が持ってた消しゴムでなにかやらかしたのかもしれない。もし、それが人に見せられるようなものだったら、たぶん完成したときにでも見せてくれるだろう。というか、見せびらかされるだろう。
 なので、あとで見せろよっていう催促も込めて、満足そうに前に向き直った相棒の背中を指の関節部分で軽くつんとつつく。
「了解」
 楽しそうな返事が聞こえてきたので、俺も満足して机に突っ伏した。休み中、ひと寝入りしようと思ったわけだ。
「あんたらさあ……なんで、それでわかんの?」
 相棒の隣の席に座ってた里中が眉間にしわを寄せて、解せないって顔をしていた。
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