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#診断さんのリクエストログ

富傭(乖離性ミリオンアーサー)、荒主(ペルソナ3)、とジャンルもCPも違うTwitterに上げたログの詰め合わせ。
どちらもCP指定のリクエストをいただいて書いたものです。

富傭:いつまでたっても進展しない関係に業を煮やした傭兵アーサーの開き直りの結果
荒主:荒垣先輩と主人公の日常風景(と書いて餌付け)



【たぶん企みはじめてから4日目くらいの出来事】富傭

「……おい」
 こんな真夜中にうっかり目が覚めてしまっただけでなく、うっかり視線を横に向けてしまったことを、死ぬほど後悔してもすでに遅い。
 訓練城ヘヴリディーズは、居住している人数こそ少ないが敷地自体はそこそこの広さを誇っている。辺境の地にあるせいで、土地そのものが余っているのかもしれない。
 敷地が広ければ、建物も自然と大きくなる。元は遺跡だったとはいえ、後付けでいろいろと付加された結果として馬鹿みたいに広くなっている城内には当然のようにいくつもの部屋があり、大半が放置されていた。実際に使われている部屋は半分にも満たない。
 なので、ヘヴリディーズを拠点としている四人のアーサーたちも当然、各々ひとりずつ部屋を割り当てられていた。それも、それなりの広さがある部屋だ。調度品も過不足なく揃っており、生活するにはなんの不満もなかった。
 べつに二部屋使ってもなにも言われないだろうが、そうすると自分で掃除をしなければならないスペースが増えることになるので誰もそんな面倒なことをしようとはしない。とにかく、スカアハのように掃除を怠って部屋をゴミ溜めにしない限り、自室から追い出されるようなことにはまずならないわけだ。
 そして、そんな惨状を作り出すような人物は、スカアハ以外にいない。可能性だけを考えれば歌姫アーサーが魔窟に近いものを作りかねないが、彼女はさすがにそこまで人間を捨てていないはずだ。
 それなのに、だ。
 間違いなくここが自分の部屋であることを確かめてから、富豪アーサーは今まで横になっていたベッドの上に上半身を起こし、改めて視線を下へと落とす。
「なぜ、君がここにいる?」
 そこには、どういうわけか人がいた。もちろん、本来この部屋にはいないはずの人物だ。どういうわけか、ちゃんと掛け布団を被っている。しかもこちらを向いて、のんきに目を閉じていた。
 この部屋に設えられてあるベッドは、たしかにそこそこ身長のある男が二人くらい横になってもきゅうくつではない広さを備えているが、そこは今どうでもいい。狭いわけではないが、それ以外にいろいろと問題がある。
 とりあえず、いつの間にか富豪のベッドに潜り込んできた侵入者は、本気寝をしていたわけではないようだ。
 富豪の声にぴくりと睫を揺らすと、ゆっくりとまぶたを開いた。その瞳はしっかりとした光をたたえていて、決して寝ぼけているようには見えない。
「ん? まあ、気にするな」
 案の定、声もはっきりしていた。いっそ酔っ払ってでもいてくれたほうがマシだった気がするのは、たぶん気のせいではない。
「この状況、気にしないほうが無理だろう」
 気のせいではなく、頭痛がしてくる。こめかみを押さえながら呆れと苛立ちを隠さずに首を横に振ると、人騒がせな侵入者である傭兵アーサーが楽しそうに笑った。
 べつに、富豪とてただの男友達が気づいたらベッドに潜り込んでいた、というならここまで動揺はしないのだ。寒いから人肌を暖房代わりにしようとしたとか、ベッドの上で剣の手入れをしかけたはいいが途中で眠くなったので放置してきたとか、掃除の途中でベッドの上が物置になっているとか、いくらでも理由は考えつく。傭兵は寝相が悪いタイプではないので、寝床を提供するくらいべつに構わないはずだった。
 では、構わないはずなのになぜ気にするのか、といえば。
 それはもちろん、今はただの友人同士ではないからだ。一カ月半ほど前から、どういうわけか互いに心を交わす関係になっている。半ば事故のようなものではあったが、後悔はしていない。
 同僚のようなものである盗賊アーサーと歌姫アーサーには、一応まだバレていなかった。スカアハは興味すらないだろう。ウアサハにはバレているかもしれないが、まあなにも言われないので放っておく。
 ただし、キスまでしかしたことがない。じつに、健全なお付き合いだ。
 今、訓練城ヘヴリディーズは戦争に巻き込まれている。しかも、状況としては四面楚歌だ。
 それを望んだわけではないが、回避するという選択肢は最初から用意されていないので仕方がない。富豪としてはそんな非常事態によけいなリスクを負うような要素を作りたくないわけで、少なくとも翌朝身動きできないことになったりしかねないような暴挙は慎んでおきたかったわけだ。
 そのため、常々理性を最優先に自制と我慢を重ねてきているのだが。
 なぜ、よりによって相手がそれを自らぶち壊すような真似をしているのか、それがまったくもってわからない。
「独り寝が寂しかっただけだぞ」
「おい」
「いや、嘘じゃないし」
「おい」
「大体、俺としては気にしてくれたほうが手っ取り早いんだよな」
「どういう意味だね、それは」
 まったく言葉のキャッチボールが出来ていない。そんな気分に陥りながら反射で言葉を返していくと、傭兵がごろりと向きを変えた。ベッドの上で、仰向けになる。
「待ってるだけだと気が遠いことになりそうだから、自分から据え膳を提供してみただけだ」
 まっすぐな視線で見上げられて、とっさには言葉が出なかった。
 本気で、なんと言えばいいのかわからない。自分の自制とか自重とか心遣いとか、そういうものをみごとにぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に放り込むような言葉を投げつけられたことだけは、よくわかる。
 わかる、のだが。
「……君な」
「ほら、襲ってくれていいんだぞ? というか、これ以上待たせるなら俺から襲うぞ」
 ついに歯に衣を着せることすらしなくなった傭兵が、直接的な言葉を口にしながら人の悪い笑みを浮かべる。
「…………もう、好きにしてくれ」
 それに反論もできず、だからと言って同意もできず、富豪は肩を落としながらそれでも目の前の男の頬に手を伸ばした。




【鍵を開ける】荒主

「……おい」
 巌戸台分寮にある自室の扉を押し開けた荒垣真次郎は、部屋に一歩踏み込んだ姿勢のままぴたりと動きを止めた。
 出かけるときに、一応鍵は閉めていったはずだ。絶対に忘れていないとは言い切れないが、なんとなく記憶は残っている。つまり、今朝この部屋を出てからたった今戻ってくるまでの間、この部屋は間違いなく無人だったはず、ということだ。
 寮の管理人なら、マスターキーくらい持っているだろう。よくよく考えてみれば誰が管理人の責務を果たしているのかじつは知らないのだが、少なくとも目の前にいる人物ではない。
 そう、出かける前に鍵をかけたはずの部屋にいつの間にか入り込んでいた、出動時には現場リーダーを務めるひとつ年下の仲間ではないはずだ。
「おかえりなさい、荒垣さん」
 暇そうに椅子へと背を預けていた彼が、けだるそうに身を起こす。眠いのかなんなのか、ぼんやりと荒垣に向けられた視線には覇気もなにも見られない。
 大人しそうに見えても、この男は確固たる信念で我が道を突き進む一筋縄ではいかない人間だ。押しても引いても曲がらない偏屈な頑固さはないが、どんなに強い圧をかけられてもそれをすべてしなやかにそれを受け止め、さらりと受け流してしまう強さがある。
 それは、主に視線の強さに表れていた。なのに、今はそれすら見られない。
 ──もしかして、具合でも悪いのだろうか。
 一瞬そんな懸念が脳裏をよぎるが、もしそうであればさっさと自室に引っ込むだろう。なにも施錠されていた荒垣の部屋に入り込んで、暇な時間を持てあます必要はない。
 だとすれば、別の目的があるはずなわけで。
「俺の部屋でなにやってんだ、お前」
「お腹すいちゃって」
「…………」
 疑問には、あっさりと答えが返された。ついでに、まったくもって覇気が感じられない理由も判明する。
 力を込めたらほっそりとした体躯をしているくせに、この男はとんでもない大食漢なのだ。燃費が悪すぎるとしか言いようがない。
 そして、腹が減りすぎるとこうなるのだ。本人曰く省エネモードらしいが、自覚しているのならそうなる前にさっさとなにか食えと思う。
 なのにそうせず、わざわざ荒垣の前にやってきてそれを主張する理由。
 それを、荒垣は知らない。目の前の男に聞こうとは思わないし、聞いても答えてくれる気はしない。
「荒垣さんの作ったごはんが食べたいです」
 ただ、この男がこうした甘えを他の奴には見せないことを知っているから。
 追い出すことなど、出来るわけがないのだ。
「……なにが食いたいんだ」
 開けたばかりの扉を手で押さえたまま、きびすを返す。自身の願いが受け入れられたことを察した客人が、音を立てて椅子から立ち上がった。
 部屋の出口へと向かってくる男は、ほとんど足音を立てない。
「荒垣さんが作ってくれるならなんでも嬉しいですけど、強いて言うなら今は洋食の気分かな」
「洋食、か」
 かすかな足音が近づいてくるのを感じながら、冷蔵庫の中身を思い出す。さて、買い物へ行かずに作れるものはあるだろうか。
 否、あまりその期待はしないほうがよさそうだ。寮のキッチンで料理をすれば、誰かしらの目に止まるのは目に見えている。見つかればきっと、そいつらも食べたがるだろう。なにしろ、高校生は食べ盛りだ。若干一名ほど小学生も混じっているが、育ち盛りには変わりない。
 そんなことを考えていたら、隣に並んだ男がおもむろに口を開いた。
「材料なら、キッチンの冷蔵庫にいろいろ詰め込んでおきました」
「…………」
 どうやら、考えを読まれていたらしい。
「玉子もジャガイモもキャベツもニンジンも玉ねぎもカリフラワーも牛乳も鶏肉もピーマンもチーズもニンニクもありますよ。米はまだあったんで買ってないです。バターもオリーブオイルも補充してあります」
「なら……オムライスと野菜のポタージュでどうだ」
 つらつらと挙げ連ねられた材料の数々を頭の中で転がしながら、思いついたメニューを口に出す。
 オムライスなら、チキンライスさえ山盛り作っておけば他の連中が食べたがってもなんとでもなるだろう。ポタージュもひとり、ふたり分作るのと大人数の分を作るのとではさして手間の差はない。残ったとしても、勝手にあっためて食えと言っておけば明日あたりにはきれいさっぱり消えている未来が見えた。
 とりあえず、めいっぱい材料を買ってくるという労力を自発的に払った人物の意向を最優先にするべきだろう。そう考えて、視線を投げれば。
「美味しそう」
 日頃あまり動かない表情が、嬉しそうに笑み崩れる。
 それを目の当たりにしてしまうと、特に理由もなく腹の中でもやもやしていたなにかが、大体どこかへ消え失せてしまうのが不思議だ。
「じゃ、それで」
「はい」
 機嫌良く返事を口にしたそいつの背を押して、部屋の外へと追い出す。
 先刻までとは打って変わって足取り軽く廊下を歩き出した足音を聞きながら、荒垣は開けたばかりの部屋の鍵を閉めた。
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