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2/25 ParallelKingdom6新刊&ご案内

また広告出てるし。

2/25のParallelKingdom6は東2ホール、ヒ27a「ACF」で参加しています。
いつも通り尊礼。

なんとか出た新刊と既刊3種(青の剣前編、四季徒然、四季徒然其ノ弐)を持ち込み予定です。
無配は運が良ければあるかもしれません。

あおのけん2◆青の剣 中編
A5/フルカラー表紙/オンデマンド/32P/予価400円

宗像礼司にそっと見守る系ストーカーがつく話。尊礼です。
前編発行から1年以上経ってるのに中編……だと……? って感じですがスミマセン中編です。インフルには勝てなかった。
尊礼なのにあんまりふたりが一緒にいるシーンがないのが最大の問題ですが、のっけから尊さんはけっこう惚気ていなくもないです。

通販はとらのあなさんで取り扱ってもらえることになりました→直通

後編は……なるべく早めに……。

中身のサンプルはたたんでおきます。






【青の剣 中編】サンプル

「あ、キングおかえり」

「……おう」

 周防がバーHOMRAのドアを押し開けるのとほぼ同時に振り向いたのは、鼻歌交じりでフロアの掃き掃除をしていた十束多々良だった。

 視線を巡らせてみれば、店主である草薙出雲の姿はちゃんとご自慢のカウンター内にある。周防の眼差しに片手を上げて応えた草薙の手は、顔のすぐ横に当てられていた。

 よく見れば、タンマツが握られている。どうやら、通話中らしい。

「いやあ、ここんとこは平和なもんやで。うちらが最近大人しいのは、世理ちゃんもよお知っとるやろ」

 しかも、相手は《セプター4》の幹部、《青の王》の右腕でもある淡島世理、のようだ。個人的に交流があるらしいことは知っていたが、昼前から堂々とこうやって連絡を取り合うほどだったとは思っていなかった。……まあ、意外だっただけで、正直なところどうでもいいのだが。

 ただ、草薙によけいな苦労をさせている自覚もないことはないので、彼の恋心でも下心でもどちらでもいいが、せめて成就すればいいとは思っている。特に、お節介を焼く気にはならないだけだ。草薙もそんな期待は欠片もしていないだろうし、自分が口や手を出してもロクな結果にならないだろうことは目に見えていた。

 弛みきった顔を隠す素振りもない通話中の草薙を意識から追い出して、店の中を見渡す。どうやら今店の中にいるのは周防と草薙と十束、この三人だけのようだ。

 もの問いたげな周防の視線に気づいたのか、器用に箒を扱いながらふにゃりと十束が笑った。

「アンナなら鎌本と八田と一緒に出かけてるよ」

「そうか」

「買いたいものがあるんだって」

「ふうん」

 そのふたりが共にいるのなら、大丈夫だろう。単純すぎるきらいがある八田美咲がもし短気を起こしたとしても、すでにそのあたりに慣れきっている鎌本力夫がなんとかしてくれるはずだ。

 おざなりな返事をしてから、カウンターの端の席へと腰を落ち着ける。定位置のソファへと身体を投げ出さなかったのは、眠気に苛まれていないからだ。すぐに二階へ上がらなかったのは、身の内も大人しく凪いでいるから。

 理由を口に出して説明したわけではない。だが、周防の行動だけで十束には伝わったのだろう。ほんの一瞬だけ目を瞬かせると、十束は安心したように笑った。

 鼻歌混じりのご機嫌さで手早く掃き集めたゴミをちりとりで回収すると、軽い足取りで掃除用具を手にしたまま奥へと引っ込む。かと思えばすぐに手ぶらで戻ってきて、周防の隣に座った。手を伸ばし、カウンターの上に置きっ放しにされていた水差しと、伏せてあったグラスをふたつ、たぐり寄せる。

 気づけば、目の前には水がなみなみと注がれたグラスが置かれていた。気の利くことだ。

「コーヒーは電話が終わるまで待ってね」

 未だ通話中の草薙を指差しながら、にこにこと十束が宣言する。電話が終わったら草薙に淹れさせる、そういうことだろう。

 もちろん、それに否やはない。久しぶりにすっきりした気分を味わいながら周防がグラスに口をつければ、両手でグラスを抱えた十束がのほほんと首を傾げた。

「草薙さん、顔デレッデレだけど、内容はぜんぜん色気ないっぽいよね」

「……なんかあったのか?」

「うーん、わかんない」

 十束にも、心当たりはないようだ。実際、最近の吠舞羅は先ほど草薙が言っていたとおり、平穏そのものだった。鎮目町でも、めずらしくトラブルは勃発していない。

 なので周防も特に暴れることなく、しばらくの間大人しくしていた。その結果、王の力を使いすぎることはなかったもののかわりに内圧を溜めすぎて、昨夜ついに宗像の姿を探してうろつく羽目になったのだ。

 とにかく、その程度には平和だった。少なくとも、吠舞羅と鎮目町は。

 不思議に思っている間に、草薙の通話も終わったようだ。タンマツのボタンを押しながら、草薙も首を傾げている。

「……なんやったんかな、突然?」

「なんだってー?」

「いやあ、なんや変わったことはないか、《赤の王》につきまとってる輩はいないか、ってご機嫌伺いみたいな感じやったんけどな、どうも世理ちゃんらしからぬ歯切れの悪さっつうか……?」

 十束の呑気な問いかけに、草薙から案の定要領を得ない返答が戻ってきた。

 そもそも、《セプター4》が《吠舞羅》の動向をそこまで細かく気にしなければいけない理由もない。頂点に立つ王の性質が正反対なせいでなにかと対立しがちな赤のクランと青のクランだが、べつに敵というわけではない。基本的には吠舞羅が大人しくしていれば、セプター4は干渉してくることもない。

 そして、味方というわけでもないのだ。なにか事が起こる前からこうやってやんわりと探りを入れてくるようなことも、今まではなかった。あるとすれば、青の王である宗像本人が周防に直接、この日は動けないから面倒を起こすなと誤解のしようのない釘を刺してくる程度で。

(……あ?)

 そこで、ふと思い出した。ここへ戻ってくる前にも一瞬だけ脳裏に浮かんだ、さほど面白くもない事実。

 宗像が周防よりも優先しようとした、あの不躾な視線の持ち主。

 セプター4の副長は、誰が見てもわかりやすすぎるほど宗像を尊敬している。心酔している、と言ってもおそらく過言ではない。

 そんな淡島が、奔放な上司についたらしいストーカーを放置しているわけもなかった。しかも、つけ回されている宗像本人に対処する気があるようにはまったく見えなかったので、あれでは気が気ではないだろう。必死になっているに違いない。

 さらに、なぜ今になってからわざわざ探りを入れてきたのか。もちろん、心当たりはある。

(結局バレたのか)

 まあ、そういうことだろう。

 なぜ部下たちに露見したのかは知らないが、そこは周防の関知するところではない。

「セプター4でなにかあったのかな?」

 だが、とりあえず十束のその疑問に対する答えは、一応周防も持っていた。なので、飲みかけだった水を飲み干しついでに口を開く。

「そういや、宗像にストーカーがついてた」

「……は?」

「へ?」

 当然、草薙も十束も目を丸くした。周防が口を開いたことも、周防が口にした内容も、どちらもふたりに驚きしかもたらさなかったのだろう。

 その気持ちは、わからないでもない。周防自身ですら、不思議に思っている。

 口にする気になった理由はいまひとつよくわかってはいないのだが――おそらくは、今でも気にくわないと思っているからだろう。

 なにが気にくわないか、なんて。

 そんなものは、今さらだ。

「す……ストーカーやて? 《青の王》に、か?」

「あー、でもちょっとわかるかも。青の王さまってめちゃくちゃ美人だもんねえ。しかも権力も持ってるし、盗聴とか盗撮とかされまくっててもおかしくないよ。わあ、すごい盲点だった!」

 目を白黒させたままの草薙より、先に十束のほうが驚愕から復活したようだ。頬杖をついて、なにを納得したのかうんうんと頷いている。

 宗像礼司にストーカーがつく、その客観的事実だけなら周防も納得しなくもない。あれほどストーカーしがいのない男もいない気はするが、外見だけを見て入れあげるのであれば、そんなものは関係ないのだろう、きっと。周防にはわからない感覚なので、理解する気はない。

「てか、なんで尊がんなこと知っとるんや」

 ようやく少し冷静さを取り戻したらしい草薙が、タンマツをカウンターの上に置きながら疑問を口にした。至極、まっとうな疑問だと周防も思う。

「本人から聞いた」

 なので、極限まで簡略化した答えを返す。詳細を語るつもりはまったくなかった。

 結果、草薙がまたしても固まることになったのは不可抗力だ。周防のせいではない、きっと。

「草薙さん、しっかり。生き返って」

「死んどらんわ、勝手に殺すな!」

 十束のセリフひとつですぐに硬直は解けたようなので、草薙の挙動については気にしないことにする。

「はあ……」

 動揺を完全に無視された草薙が、がっくりと肩を落としたのが見えた。

「まあ、ええけど。それより、よくあの青の王がそんなこと教えてくれよったな……」

「教えるもなにも」

 呆れたように言われて、周防は昨夜の宗像とのやりとりを思い出す。

「あいつ、まったく気にしてなかったぞ」

「はぁ?」

 サングラス越しに「冗談言っとる場合か」とでも言いたげな胡乱な目で見られても、それが嘘偽りのない事実なのだから仕方がない。

「完全に放置してやがった。聞いてみたら、拍子抜けするほどあっさり白状したしな」

「おいおいマジか」

「マジだ」

 少し前からなぜかストーカーがついているらしいこと。

 《青の王》という公的な立場にいるときはまったく視線を感じないこと。

 どうやらプライベートの宗像礼司にしか用がないらしいということ、その視線を周防も感じたこと。

「なんやそれ」

「へええ」

 宗像から聞き出したストーカーの情報を端的に伝えてやれば、草薙は頭痛を堪えるように頭を抱え、十束はなぜか目を輝かせた。十束の表情には、隠そうともしていない好奇心がみごとに顔を出している。

 根っから好奇心旺盛な十束だが、先刻までの反応とは種類が違う気がした。にこにこと惜しみない笑顔を見せながらじっと周防を見上げてくる十束の額を、周防はなるべく力を入れないように細心の注意を払って弾く。

「あいたっ」

「人の顔見てニヤニヤ笑ってんじゃねぇよ」

「えー? だってさあ」

 デコピンを食らった十束の顔は、笑み崩れたままだ。なぜか急に煙草が吸いたくなって、まだ残っていたはずの箱を探る。

「俺としては、なんでキングが青の王さまから事情を聞き出す気になったか、のほうが気になるなあ」

 明るい声に、煙草を求めていたはずの指先がぴたりと止まった。

「……気にくわなかっただけだ」

「ふうん?」

 嘘は吐いていない。雪が風に舞い踊る街を歩きながら、気づきたくもないのに気づいてしまったことだ。

 だが、煙を纏わずに吐き出した声は、いつも以上にかすれていた。

 まだ、煙草は吸ってもいない。火をつけるどころか、手にしてもいない。

 すでに行動に移していたはずなのに、無性に煙草を吸いたい気持ちが強くなる。そんな周防の心情を知ってか知らずか、十束はぱっと笑顔を無邪気なものに変えた。

「ねえねえ草薙さん、いいこと考えたんだけど」

「なんや」

「そのストーカーについて、こっちでも調べてあげたらどうかな?」

「はぁ?」

 突拍子もない十束の提案に、草薙が目を丸くする。

 多少のことでは動じたりしない周防も、さすがにこれは予想外すぎて虚を突かれた。まだ火の点いていない煙草を指に挟んだまま、まじまじとその顔を凝視してしまう。

 いくらなんでも、セプター4への純粋な好意というわけではないだろう。十束はセプター4へ敵対心を持ってはいないが、懇意というわけでもない。

 淡島に貸しを作りたい、もしくはいいところを見せて少しでも評価を上げたいと目論む草薙本人が言い出すならわからないでもないが、当の草薙は「あり得ない」とでも言いたげな表情で首を横に振っている。

「なに言うてるんや。セプター4のネットワークでも正体やら所在やら突き止められないようなヤツが、そう簡単に引っかかるわけないやろ」

「またまた~、なに言ってんの。草薙さんの情報網はあちらさんのと違って強権発動したりはできないけど、そのかわりお行儀よくしなきゃいけないヤツじゃないでしょ」

「そりゃ……まあな」

 草薙が持っている情報ネットワークは、お役所の機関であるセプター4が持っているものとは層が違う。主に、アングラな方向に特化しているものだ。

 公的に裏づけの取れた情報を探るのであればセプター4のネットワークにかなうわけもないが、今回のようにめぼしい情報がなにひとつ拾えないような状況であればおそらく草薙のほうが有利なはずだった。アングラなネットワークに転がる情報は混沌そのものでしかないが、質を問わない分わずかな手がかりが見つかる確率はゼロではない。

「でしょ? どんな小さな手がかりでも、見つけたらきっと青の副長さんに喜んでもらえるんじゃないかな?」

「それ、は……ただ、なあ。いくらなんでも、さっき世理ちゃんと尊から聞いたネタだけじゃ絞れへんよ」

「そこなんだよねえ。あっちには伏見もいるはずなのに、すごい難航してるっぽいし……ストーカーしてるけど見てるだけで実際に行動起こさないから、手がかりがさっぱりなんだろうな」

「厄介やな」

「ホントにね」

「…………」

 草薙と十束の会話を聞くともなしに聞きながら、周防はやっと煙草に火をつける。嗅ぎ慣れた煙が、ふわりと立ち上った。


(中略)


 そんなどうでもいいことに意識を遊ばせながら空を眺めていると、ふと辺りの空気が変わった。炎と熱に満ちた空間を、冷たく清涼な風が切り裂いていく。

 周防の制御を離れ勝手気ままに暴れていた炎が、いつの間にかおとなしくなっていた。意識せずとも、暴走する素振りは見えない。

 やっと、待ち人が来たようだ。

「…………遅ぇ」

 口から出た言葉には、周防が予想していたよりも不満がぎゅうぎゅうに詰まっている。

 べつに、本気で遅いとは思っていない。選択の余地などなく強引に呼び出したようなものなのだから、それにしては早いほうだろう。ただ、呼びつけた相手にそこで感謝の気持ちを抱くことはないし、なによりその顔を視界に入れるだけでふつふつと闘争心がわき出てくるのだからしょうがない。

 今、周防の機嫌はこの上なく良いのだ。現在進行形で周防の力を中和する羽目になっている待ち人の機嫌が、おそらくは最低なのと反比例して。

「わざわざ人を呼びつけておいて、その言い草はどうなんでしょうね」

 案の定、真っ昼間に危険域に近い数値まではね上がったヴァイスマン偏差と崩壊しかけのダモクレスの剣を見せつけられ、撃剣機動課の一小隊のみを封鎖のために率いてここまで飛んで来る羽目になったセプター4室長《青の王》宗像礼司は、機嫌が悪そうだった。いつもなら貼りつけたように微動だにしない例のうさんくさい笑みを完全に消し去った冷徹な表情で、それでも腰に佩いたサーベル・天狼に手を掛けることなくそこに立っている。

 宗像の背後に、人の姿はない。ダモクレスの剣を顕している他の《王》の元へ、この男が自らのクランズマンを連れてくる愚を犯すことはない。

 思い描いていた通りの状況が作られて、自然と周防の口角が上がる。それを目にしてしまったのか、宗像の眉間にひとつ皺が刻まれた。

「しかも、どうしてあなたひとりなんです? 今、吠舞羅は特に動いていないようですし、この近辺でストレイン関係の事件も起こっていません。このビルには反社会的勢力の根城もありませんし、チーム吠舞羅の周防尊がわざわざ単身出張ってくる理由が見えないのですが」

「そりゃ、吠舞羅は関係ねぇからな」

「なんですって?」

 長々とした文句に端的な答えを返してやれば、まっすぐに周防を射貫く紫水晶の視線が険を増す。触れずとも切れそうなその鋭さに、自然と周防の気分は浮き立った。ここしばらくの間、ずっと腹の奥でわだかまっていた苛立ちが溶けて消えていくようだ。

 この男が掲げるご大層な理想も、澄ました顔も、なにもかもが気にくわない。だが、手加減なしで力をぶつけることができる解放感、ぶつけたものと同じだけの力を返される充実感、最期には必ず墜ちる剣を止めてくれるだろう安心感、どうしたって得難いそれらを周防に与えてくれるのは宗像だけだ。

 欲しいものを目の前に出されているのに、見過ごすことなど出来るはずもない。それに、今は大義名分もある。

「俺が、テメェに用があるだけだ」

「用とは?」

 謎の視線の主、宗像のプライベートだけを執念深く追い回すストーカーを見つけ出すという、立派な口実が。

「遊んで欲しいなら昼間にしろって言ったのは、他でもないテメェだろ……!」

 ほんのわずか残していた力の枷を、完全に解き放つ。途端に勢いよく燃え上がった炎が、勝手気ままに荒れ狂おうとして逆巻いた力が、青の王の力で強制的にそぎ落とされていく感覚が妙に心地良い。

 身体中に広がる満ち足りた感覚に、自然と口が笑みの形を作る。ますます気分が上向いていくのがわかった。

 右手に拳を握り、地面を蹴る。高揚した気分に任せて振り抜けば、予想通りサーベルの鞘で受け止められた。左手で鞘を掲げる宗像の氷のような冷たい瞳の中に、わずかな苛立ちが浮かんでいる。

 それが、周防は楽しくて仕方がない。もっと、その苛立ちを引き出したい。

 そのための手間を惜しむつもりは、最初からない。

「確かに、今は夜中に遊びをねだられるよりは昼間に呼びつけてくれたほうがありがたいとは言いましたが、それを本気で実行する馬鹿が存在するとは思いませんでした」

「そうかよ」

 長々と言葉を尽くして罵倒してくる宗像の態度を、鼻で嗤う。こうすれば、宗像の怒りの導火線が短くなることを周防は知っていた。

「そりゃあ、テメェらしくねえ大ポカだな!」

 言葉でも煽ってから、周防は己の拳に炎を纏わせる。遠慮も躊躇もなく力で押しきろうとすれば、まだ十分に理性を保った低い声が耳へと忍び込んできた。

「――宗像、抜刀」

 鞘で受け止められたときより、鋭い音が辺りに響く。抜刀したサーベルの刃で、宗像が周防の拳を防いだからだ。

 青の王の力で、今も周防の炎は分解され続けている。なにひとつ抑制などしていないのに周防の力がこれ以上ないほど安定しているのは、だからだ。

 身体の内にある力に引きずられない状態は、周防の心を軽くさせる。我が身のこととしてそれを嫌というほど自覚している周防は、獰猛な笑みを浮かべた。



(続く)
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