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SCC新刊+無配

まだまだ先な気分でしたけど、よく考えたら来週なんですよね、もう……お品書き作らないと。

花の記憶2◆花の記憶Ⅱ
B6/フルカラー表紙/オンデマンド/20P/予価200円

Fate/Grand Orderのロマニ×ぐだ♂小説本。続きものの2冊目です。
一応CP表記になっていますが、今回も中身は×表記詐欺なレベルで友情しかありません。
第二特異点、第三特異点クリア後の小話を2本収録しています。ただの極限状態での日常です。
終局特異点までこの調子で続く予定。

中身のサンプルは「続きを読む」からどうぞ。

◆きらきら星の詩
A7折本(8P)orB5ペーパー/コピー/無料配布

タイトルから想像できるとおりの、FGO2部1章をクリア済み&サリエリのプロフィールやマイルーム会話を見ていないとまったく意味がわからないネタバレしかない話。
内容的にはサリエリの独白です。異聞帯のサリエリが比較的理性を保っていた理由を勝手にねつ造しました。
腐要素はたぶんないです。超絶短い。

A4の紙を折って切って作る折本仕様の予定です。加工が面倒になったらB5のペラになってるかもしれません。
中身のサンプルは「続きを読む」に貼っておきます。



【花の記憶Ⅱ】

<花車の帝国>

「王様って大変なんだなあ」
 まったく意識していなかったのにうっかりこぼれたその言葉は、本音であった。それは、間違いない。
 ただ、べつに口にする気はなかった。そもそも、なぜ今それを言うのか? と自分自身ですらも不思議に思っている。それも、現在進行形で。
「マスター?」
 なので、己のサーヴァントであるマシュ・キリエライトが目を瞬かせながら首を傾げても、藤丸立香は少しも驚かなかった。なにしろ、至って普通の反応に見えたので。
 ただ、自分でもよくわかっていないので、ちゃんと説明できる気がまったくしないのが当面の問題だ。干し肉で出汁を取ったスープの中にゴロゴロと入れられた塊の羊肉を木のスプーンでつつきながら、立香は脳内を引っかき回して言葉を探す。
「あー、ほら、えーっと。ネロとかブーディカとか見てたらなんとなくそんな気分になった」
 我ながら意味不明な説明をすると、マシュはふたたびぱちりと目を瞬かせた。どこまでも真面目な可愛い後輩は、苦し紛れとしか言いようのない説明をされてもそれを無下に扱ったりはしないのだ。
「ああ、なるほど。そうですね、確かに」
 しかも、あのあやふやな説明で納得してくれた。口走った立香本人ですら意味不明すぎていまいち首を傾げたくなる内容だったというのに、まったく出来た後輩である。
「アレで理解してくれるなんて、さすがマシュ……俺の後輩はやっぱり世界一……」
 ちょっと感動しながらスプーンですくって口に入れた羊の肉は、舌の上であっという間にとろけた。教えてもらった通り、時間をかけてじっくり煮込んだ甲斐がある。素材の旨味が凝縮していて、ちゃんと美味しいと思えた。この時代においては貴重品である塩も、ちゃんと使っている。
(あー、でも、醤油足したい。絶対美味しい)
 ただ、ついそう思ってしまうのも致し方ないことだろう。醤油と味噌は、日本人の心の故郷である。
 そして、そんな風に思いっきりの脱線した立香の脳内を軌道修正してくれるのも、かわいい後輩だった。
「世界一はとても光栄ですがさすがに大げさです、マスター。私も今まで王様という存在をちゃんと認識したことがありませんでしたから、似たような気持ちになっただけで」
「あー」
 マシュに言われて、初めて気づく。そういえば、そうだった。
 当たり前だが、つい最近まで立香は日本でただの学生をやっていた身だ。王様なんて、言うまでもなくほど遠い存在だった。日本は確かに立憲君主国であり象徴である天皇が存在するのだが、古代ローマだの古代ブリタニアだのを統べていた絶対君主とはどう考えても違う。その天皇だって、立香にしてみればテレビでたまにお目に掛かる程度だった。つまり、縁なんてどこにもない。
 燃えさかる冬木でもオルレアンでも、王様とまともに接した記憶はなかった。冬木の大空洞で聖杯を守っていた黒いセイバーは王様のようだったが、ちゃんと話をするような余裕はなかったのでよくわからない。だから、彼女がなにを願ってあそこにいたのか、立香は未だに知らなかった。彼女が王様だというのも、後に他のサーヴァントから聞いて知ったくらいだ。
 それくらい縁遠い存在だったというのに、この皇帝ネロが治める古代ローマに来た途端、あちらにもこちらにも王様やら皇帝やらがいる。未知の存在が急に周囲にあふれかえることになったわけで、しかもさすが王様だの皇帝だのをやっているだけあって個性が強すぎる面々と次から次へと対峙することになった立香たちが戸惑うのも当然だった。
 そして、その混乱の中でも得るものはある。王様たちの生き方、背負うもの、気概。それらは当然、誰ひとりとして同じものはなく、それゆえに立香には強く美しく輝いているように見えた。
 理解できるかと問われれば、首を傾げるだろう。時代が違えば、価値観も大きく変わる。古代の常識は、立香の知る常識からはだいぶかけ離れていた。
 それでも、彼らの生き方はとても眩しい。誰もが長生きをしたわけではないし、全員が幸せな最期を迎えたわけでなくても、彼らは輝いていた。英霊として名を残し、サーヴァントとしてこの地に召喚された面々だけではなく、今この時代を生きている皇帝ネロも同じく。
 それは、なによりも心の強さゆえなのだろう。力のなさゆえに生き残った凡庸でしかないただの一般人だからこそ、立香は強くそう思う。
 ――それは、それとして。肉の味が強い、というよりはほぼ肉の味しかしない具だくさんのスープをもぐもぐしながら、立香はぽろりと本音を口にした。
「……ところで、そろそろ醤油が懐かしくない?」
「そう、ですね……」
 手の中の椀に視線を落としたマシュも、立香の言葉に小さくため息をこぼす。グランドオーダー発令当初はレトルト頼りで悲惨な状態だった食糧事情も今はだいぶ改善され、カルデアに戻りさえすれば充実した食生活が送れるようになっているだけに、美味しいとはいえ同じ味ばかりが続くのは辛いものがあった。端的に言えば、美味しくとも飽きるのだ。
「私はお味噌の味が恋しいです」
「あー、いいね。味噌汁飲みたい」
「最初は戸惑いましたが、和食というのは慣れるとなんというか、癖になる味だと思います。……毎日食べ続けても飽きがこないのも素晴らしいかと」
「不思議だよなあ、あれ」
 決して不味いわけではなく、料理上手な人に作り方を教えてもらっただけあって十分美味しいのだが、今は舌に慣れた優しい味が恋しい。じゃが芋の煮っ転がしとか、出汁巻き卵とか、豆腐の味噌汁とか。
(レイシフトが長引くと、こういう問題も発生するんだなあ……)
 かれこれ十日以上世話になり続けているスープを頬張りながら、立香はそんなことを考えていた。



「やっぱり、人間一度ぜいたくを覚えちゃうともう元には戻れないんだなって痛感した」
「えっ。あの、ローマの感想、それなの?」
「うん」
 おにぎりを頬張りながら、力強く頷く。炊きたてのご飯を塩だけで握って海苔を巻いた塩むすびは、最高に美味しかった。冷たくなっても美味しさが損なわれないのが特に嬉しい。
 おにぎりと一緒につけてくれた玉子焼きも、口に入れてみればまだほかほかだった。たぶん、水筒に入れてくれた味噌汁も熱々だ。
「まあ、うん……しょうがないのかなぁ……?」
 目の前で健啖家ぶりを発揮する人類最後のマスターの姿を眺めながら、ロマニ・アーキマンが困ったような笑みを浮かべている。確かに、帰ってくるなりの一連の行動を鑑みればそんな表情をされても仕方がないので、立香はそこには文句をつけたりしなかった。
 古代ローマへのレイシフトから無事にカルデアへと戻ってきた立香がやったというかされたことは、まずはマシュによるマッサージである。マシュ曰く東洋のツボ押しで以前は強すぎると被験者に逃げられたらしいが、今回は手加減してくれたのかなかなか快適な痛気持ち良さで、気づいたらそのまま寝落ちていた。幸いマッサージは立香の部屋のベッドでやってもらっていたので、マシュに運んでもらうような手間をかけさせなかったことだけが救いである。
 そんな寝落ち経由の熟睡から目覚めた立香は今朝、顔を洗ってすぐに食堂へと駆け込んだ。
「ご飯! ご飯食べたい! 醤油味! 味噌!」
「ま、マスター? 落ち着きたまえ」
「飢えた猪みたいな顔してんな……」
 みたいなやり取りを経て無事にあたたかい我の朝食にありついた立香は、今朝のキッチン担当サーヴァントにねだっておにぎりと玉子焼き、味噌汁を別に用意してもらったわけである。それらを抱えて、ロマニが詰める医務室へと押しかけてきたところだ。

(続く)


<苧環の花と鬼灯の実>

「ドクター、これもらった! あげる!」
「へ?」
 意気揚々と医務室に乗り込んだ藤丸立香を出迎えたのは、目を丸くしているフィニス・カルデア所長代理のロマニ・アーキマンだった。
 視線は、立香が抱えている鉢植えへと向いている。その気持ちはよくわかったので、あえてそこに突っ込むことはしなかった。立香だって、いきなり鉢植えをふたつも抱えた知り合いが小躍りで部屋に乗り込んできたら、驚く。
「ど、どこから掘り出してきたんだい、それ?」
「ほら、地下に野菜とかいろいろ作ってるプラントあるでしょ? そこに園芸品種の種とか鉢植えもいろいろあって、キャスニキが暇潰しに育てたやつで食べられそうもないやつをくれたんだよ」
「な、なるほど……?」
 標高四千メートルの雪山、などという僻地もいいところに位置しているカルデアには、ある程度なら自給自足できる設備が揃っている。
 地下のプラントもそのひとつで、今は主に野菜を栽培するために使われていた。相変わらず人間スタッフは管制室周りを動かすだけで手一杯なので、主に植物に詳しいキャスター勢をはじめとするサーヴァントたちが面倒を見てくれている。
 なお、キャスタークラスの英霊は大半が魔術師で、魔術師というのは大体が研究熱心なので、本来であれば収穫まで三ヶ月かかるような野菜がたった二週間で収穫できたりすることもあるのだが、そこの詳細については誰ひとりとして言及しようとはしなかった。人体に悪影響が出るようなことだけはしないようにお願いしてあるし、キッチン担当のサーヴァントたちはそのあたり人間以上に厳しいので、一応の安全は確保されている。少しでもヤバそうなものは、まず人間の口に入ることはない。
 閑話休題。そんなプラントの片隅で、食用にはまったく適さないのについでに育てられていたのが、立香が抱えてきたふたつの鉢植えだ。片方には青紫と白が美しい可憐な花が咲き、もう片方にはつやつやと赤いちょうちんのような実がいくつもぶら下がっている。
「ドクターの部屋、殺風景だから、これ置いとけば少しは癒しになるかなって思って」
 前々から、狙っていたのだ。野菜のついでに、と食用ではない鉢植えをキャスターのクー・フーリンがいくつか育てているのを知ったとき、これをロマニの城である医務室に置いたら少しは彩りになるのではないかと、ずっと。
 カルデアにいるときは、立香は一日に一度は必ず医務室に顔を出すようにしている。もちろん、ロマニの顔を見るためだ。

(続く)




【きらきら星の詩】

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